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法人成り(個人事業からの法人化)
1.法人成りの概要
個人事業主として行っていた事業を、新たに法人を設立して、その法人へ事業を引き継ぐことを一般的に法人成り(法人化)と云います。
個人から法人へ事業形態を変更するということになります。
現在は法律の改正により、最低資本金(設立にあたって最低集めなければならない資金)の規制がなくなりました。
改正前は株式会社では、1,000万円もの資本金が集められないと設立はできなかったことになりますが、現在は、極端ではありますが1円でも会社の設立が出来ることになっています。従って法人成りも容易になっています。
2.法人化のメリット・デメリット
項目 | 個人経営 | 法人(会社) | |
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開業 | 開業 ・ 設立手続 |
登記を要さない | 登記が必要となる 設立に費用がかかること 形態により費用が異なる(注1) |
事業年度 | 暦年(1月1日から12月31日) 変更することが出来ない |
任意に設定できる 繁忙期を避けることや、売上等の予想が可能な時期に設定可能 |
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経営 | 信用力 | 対外的信用力が低い | 対外的信用度が高い (株式会社) |
資金調達 | 融資は可能であるが比較的難しい | 融資、出資による資金調達が可能で比較的容易となる | |
責任リスク | 無限責任 | 有限責任(出資分のみの責任) (融資保証は除く) |
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機関設計 | 不要 自由に経営できる。 | 株式会社では、取締役、監査役等の選任、登記手続が必要 | |
経理 ・ 記帳 |
簡易な処理が可能ではある。 | 複式簿記が義務 (税理士の処理・チェック必須) |
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税務 | 税率 | 超過累進税率 所得税の最高税率45% 住民税を加算すると55%になる。 |
比例税率 中小企業は、法人税実効税率約25% (年間所得800万円 800万円超部分は、約35%) |
給与所得控除 | なし 発生した利益は事業所得 |
あり 役員給与は給与所得 |
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欠損金の繰越 | 3年間の繰越(注2) | 10年間の繰越(注2) | |
交際費 | 事業遂行目的であれば、ほぼ経費となる | 改正により年800万円までは全額経費となり個人事業とほぼ変わらなくなりました | |
税務調査 | 比較的調査されにくい | 個人よりは調査は入る | |
消費税 | (注3) | 原則として設立2期は免税制度はあるが、インボイス制度で実質無し | |
その他 | なし | 赤字でも住民税の均等割額発生 (年間最低額7万円) |
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労務 | 社会保険 | 従業員5名以下は任意加入 | 強制加入(保険料コスト発生) 将来の受給年金は多くなりますが |
求人 | 募集しにくい | 募集しやすい | |
その他 | 保険活用 | 生命保険料控除のみ (最大12万円) |
保険の種類のよっては、支払保険料が損金計上可能 |
退職金 | 事業主、家族へ支払をすることができない | 経営者本人、家族へ支払可能 生命保険を活用して万が一の保証と退職金財源を積み立てることができる。 |
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事業承継 | 相続時に始めて事業承継となる 遺産分割などの問題あり |
生前で事業承継可能 決議で社長の交代可能 |
- (注1)会社法により、会社の形態は株式会社、合名会社、合資会社及び合同会社の4種類となりました。設立費用は、株式会社は最低21万円程度になります。(法定費用分として)
- (注2)赤字が発生した場合には、翌年度以降の利益と相殺することができます。
3.法人成りを行うかについて
個人事業での成長が著しく、これから更に事業を発展していきたい方などの法人化についての無料相談を随時行っております。
法人になれば社会的信用力は上がりますので、事業の展開はしやすくなるとは思いますし、節税対策も個人事業よりも多数の手法を考えることができます。ただ安易に法人化をすることには注意が必要です。上記2の表の通りデメリットもあるため、法人化には専門家との綿密な打ち合わせ及び数字的なシュミュレーションが必要になってきます。
弊法人では、法人化を数多く経験している税理士がご相談に対応させていただいておりますので、お気軽にご相談いただければ幸甚に存じます。